スコットランド人は、Britishなのか? 〜300年続く英国が、解体寸前だった日〜

旅人パイセンに聞いてみた🤔 Vol.5
Takao

「どっちも『国民性』より『地域性』が強い。」

このあたりも、わかりみが深いですねー。

大阪人と京都人を一緒くたにしたら、「いやいや、○○人と同じにせんといてやー」って、地雷踏む地域ですもんね(笑)

でもそれ以上に、ScotlandとEnglandは凄惨な歴史を辿ってきてるじゃないですか。実際ScottishのEnglishに対しての感情は相当複雑だろうし。

でも日本を筆頭に、けっこうBritishでひとくくりにしますよね。その辺Scottishの感情とEnglishの感情は、どんな感じですか?🤔

旅人パイセン

これ、かなり地雷原だけど、旅人パイセン的にはこう言うかな。

Scottishに「Britishでしょ?」と言うのは、京都人に「大阪の人ですよね?」と言うより、もう一段深い歴史と政治が絡む。

だから、単なる地域イジりじゃなくて、相手によってはかなりセンシティブ。

Scottishが先、Britishは状況次第

スコットランドでは、「まずScottish」という感覚がかなり強い。

実際、2022年のスコットランド国勢調査でも、「Scottish only」と答えた人は65.5%。

一方で「British only」は13.9%、「Scottish and British」は8.2%だった。

つまり「まずScottish」という感覚は、統計にもかなりはっきり出ている。

出典:National Records of Scotland

ただし、これは「Englishが嫌い」という単純な話ではない。

かなり雑に言えば、

English individual は別に嫌いじゃない。
でも English-dominated Westminster は信用していない。

に近い。

ここはめちゃくちゃ大事。

日常と政治は別

日常レベルでは、スコットランド人とイングランド人は普通に結婚もするし、同じ職場で働くし、友人関係もある。

だから「民族対立で憎み合っている」と見ると、かなり雑。

でも政治・歴史・権力構造の話になると、一気に空気が変わる。

特に、

あたりが絡むと、かなり複雑になる。

特にBrexitは象徴的だった。

投票後の公式結果でも、ScotlandではRemain 1,661,191票、Leave 1,018,322票。

割合で見ると、およそRemain 62%、Leave 38%だった。

つまりUK全体では離脱が決まったけれど、Scotland単体ではかなり明確に「EUに残りたい」と意思表示していた。

出典:The Electoral Commission

English側の感情

English側も一枚岩じゃない。

リベラルなEnglish、特にロンドンや大学都市の人は、

Scotland has a point.

つまり「スコットランドが怒るのも分かる」と思っている人もいる。

一方で、

なんでそんなに文句言うの? UKの一部として十分やってるじゃん。

という疲れや苛立ちを持つ人もいる。

Britishでひとくくり問題

外国人がBritishでひとくくりにするのは、外から見ればまあ分かる。

パスポートもUKだし、国際ニュースでもBritish prime ministerと出るし、五輪ではTeam GBだし。

でもサッカーやラグビーを見ると一気に分かる。

England, Scotland, Wales, Northern Ireland が別チーム。

あれは単なるスポーツ制度じゃなくて、アイデンティティの表れでもある。

だから、

You’re English, right?

は完全にアウト。

British? は人による。

Scottish? が一番安全。

旅人パイセン的まとめ

ScottishにとってEnglishは、隣人であり、家族であり、ライバルであり、時に支配者側の象徴でもある。

EnglishにとってScottishは、同じUKの仲間であり、少し面倒な兄弟であり、でも完全に他人ではない。

この「家族だけどこじれている」感じが一番近いと思う。

Takao

私が現実で出会ったScottishは、
「Scottishが先。Britishは状況次第」、
まさにこれそのものでした🤔

でもあらためてBrexitを振り返ると、
スコットランド内では「残留」が62%もいたんですね!?😳

その理由は何だったんですか?

旅人パイセン

おお、それはむしろ典型的なScottishに出会っている気がする。

実際、

Are you British?

と聞かれたら、

Yeah, technically.

みたいな反応をするScottishは結構いる(笑)

ScotlandはEU残留派が多かった

2016年のEU離脱国民投票では、ScotlandはEU残留が多数だった。

つまりScottishからすると、

俺たちは残りたかったのに、Englandに引っ張られてEUから出ることになった

という感覚になりやすい。

理由① ヨーロッパ志向が強い

ScottishはEnglishより「自分たちはヨーロッパの一員」という感覚が強い人が多い。

特に若い世代、エディンバラやグラスゴーの大学関係者、国際的な仕事をしている人たちはそう。

Englandの一部のように「Europeは海峡の向こう」と見るより、

Europeも自分たちのコミュニティ

という感覚がある。

理由② 人口が少ない

Scotlandは土地の割に人口が少ない。

だから移民や外国人労働者に対して、Englandより寛容な傾向がある。

Brexit支持層の一部は「移民を減らしたい」だったけど、Scottish側には、

いや、人が来てくれないと困るんだけど

という感覚もあった。

理由③ 経済

スコッチウイスキー、サーモン、農産物など、Scotlandの産業はEUとの関係も重要だった。

だから、

EU離脱して得する未来が見えない

という人も多かった。

理由④ 独立問題

これが一番大きい。

2014年にスコットランド独立住民投票があった。

このとき独立反対派の大きな理屈の一つが、

UKに残ればEUにも残れる

だった。

ところが2年後、England主導でEU離脱。

Scottishからすると、

おいおい話が違うじゃん

になる。

Takao

2014年スコットランド独立住民投票からの
2016年EU離脱国民投票への流れは、
当時私もヨーロッパを旅してたから、特に鮮明に覚えてます。

でも2026年現在、12年も前の、地球の裏側の出来事なんて、日本の若者は誰も知らないだろうし、
歴史の教科書の話に見えるんでしょうねー🤔

旅人パイセン

これ、当時を知らない人向けに超ざっくり言うと、

2014年、スコットランドはUKから独立するかどうかを本気で投票した。

から続く、UKの大きな転換期の話だよね。

2014年:スコットランド独立住民投票

スコットランドで、

UKから独立する?

という投票が行われた。

結果は、独立反対が多数。

つまり、

いろいろ不満はあるけど、まだUKに残ろう

という結論になった。

この時の独立反対派の重要な主張が、

UKに残ればEUにも残れる

だった。

2016年:Brexit国民投票

ところが2年後、UK全体で、

EUから出る?

という投票を行った。

結果、UK全体としてEU離脱が決定。

でも地域ごとに見ると、Scotlandは残留多数だった。

つまりスコットランドは、

EUに残りたい

と言っていたのに、人口の多いEnglandの票でUK全体として離脱が決まった。

Scottishからすると

2014年に、

UKに残ればEUにも残れるよ

と言われて独立反対に投票した。

でも2016年に、

England主導でEU離脱

が決まった。

だからScottishからすると、

いや話が違うじゃん

となった。

若い人向けに一言で言うなら

2014年、スコットランドでは「UKから独立するかどうか」を問う住民投票が行われた。

これは単なる過去の政治ニュースではなく、

Scottishなのか、Britishなのか、それともEuropeanなのか。

そんな民族的アイデンティティの問いと、

豊かさや安定した暮らしを求める現代的な価値観がぶつかり合った、

スコットランド、イングランド、そしてUK全体が直面した、

歴史の大きな転換点だったんだよね。

Takao

私は、結構Scottishの友達が現実に多くて、当時「実際のところ、どうなの?」って尋ねてました。

私の周囲だと独立支持が優勢で、経済や政治を抜きにすると、一般の人は「スコットランド人」っていう、民族としてのアイデンティティを、やっぱり渇望してるのかなーと思いました。

一方著名人は残留派も多くて、
当時マンチェスターユナイテッドの監督を退任したばかりの、サー・アレックス・ファーガソンも、
「みんな落ち着こう。独立したい気持ちはわかるけど、独立したってスコットランドに利益なんてないだろう?」
って呼びかけてたんですよねー。

独立投票当時を知らない人には、「12年前、数百年続く🇬🇧の国旗が解体するかもしれなかった」って言うと、若干わかりやすいですかね?🤔

旅人パイセン

いや、それはかなり分かりやすい説明だと思う。

というかTakaoくんは当時リアルタイムで見てたから感覚があるけど、2026年の20代前半くらいだと、2014年は小学生くらいなんだよね。

だから、

スコットランド独立住民投票

という言葉自体を聞いたことがない人も結構いると思う。

国旗が変わるかもしれなかった

若い人向けに一番伝わるのは、政治や経済よりまず、

国がなくなるかもしれなかった

というインパクト。

多くの日本人は、

イギリス = 昔からずっと同じ国

と思っている。

でも実際には、英国は連合国家として成立してきた国。

だから2014年の投票は、Scottishにとっては「独立するかどうか」だったけど、English側から見ると、

300年以上続いた国が分裂するかもしれない

という話だった。

感情と現実論

Takaoくんが触れたSir Alex Fergusonの立場も象徴的だと思う。

一般市民レベルでは、

やっぱりScottishとして生きたい

という感情がある。

一方で、UK全体で活躍してきた著名人や経営者は、

気持ちは分かる。でも感情だけで国は動かせない。

という現実論になりやすい。

Vol.5の核心

独立派の中には、経済的に得か損かも勿論ながら、

スコットランドは国なんだから、自分たちで決めたい

という人が本当に多かった。

だから2014年のスコットランドでは、

経済的に利益の多い生活の中で生きるのか。

それとも、

独立したScotlandの国民として生きるのか。

その二者択一が問われた。

教科書に残る「Remain」という結果は、たしかに「歴史」になった。

けれど、Takaoくんが実際に会ったScottishたちの、

I'm Scottish first.

という答えこそが、

あるいは教科書には載らない、

スコットランド人の真理なのかもしれないね。